📢これはオフィス備品などの社内資産をRFIDで棚卸してみる検証コーナーです。
商品在庫の話ではありませんのでご注意ください。
2021年、2022年は「流行りのRFIDで社内資産の棚卸をしたい」というお客様に対し、当社としての考えをお話しする記事をいくつか書いてきました。でも『一般的な知識』だけでは面白くないし説得力にも欠けるな、やっぱり自分で試してみた結果をお見せするほうがわかりやすいな、と感じましたので、今年はいろいろ検証していきたいと思います。
まずはベーシックなところで「RFIDって実際どのくらいの距離からスキャンできるのか」を試してみます!過去記事とあわせてお楽しみください👇
「UHF?何それやだやだ難しい!」と思わないで…!RFIDタグの周波数は主に短距離通信と長距離通信の2種類に分けられ、交通系ICカードなど近距離でピッとかざすタイプが短距離、今回の棚卸のように離れたところからでも読み取れるタイプが長距離になります。そして長距離通信が可能なタグのことをUHFタグと呼びます。
このUHFタグ、一般的な通信可能距離は1~10mといわれています。「10m離れたところからスキャンできるなら、棚卸が相当ラクになりそう」という思いからRFID棚卸を検討される方も多いかもしれません。衣料量販店のセルフレジでもこの技術が使われていますし、導入障壁は下がってきたイメージがありますね。
でも1mと10mでは大きな違いです。実際のところはどうなのか、当社のオフィス内で試してみました。
検証に使うタグはConfidex社のCarrier Pro。なぜこのタグを選んだのかはここでは詳しく語りませんが、RFID業界では有名なConfidex社の製品で、金属以外のモノであればそれなりの成果を発揮するコスパ良しのタグ、といった立ち位置。ちなみに1枚100円台から(ご時世的にも価格に波があります)。
このタグをイスの背面に貼り付けて、どれくらいの距離から読み取れるのか試してみます。読み取りに使うRFIDリーダーはデンソーウェーブ社のSP1。当社のクラウド型社内資産管理システム「Assetment Neo」の棚卸アプリに対応しているリーダーなので、我々は普段からこのリーダーにばかりお世話になっています。
アプリとSP1を接続し、イスに貼ったタグの資産番号を読み取ることができるか検証スタート。1m刻みでスキャンしてみた結果がこちら👇
距離 | 1m | 2m | 3m | 4m | 5m | 6m | 7m | 8m | 9m | 10m |
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スキャン結果 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
あれま、10mでもすんなり読めた…!
やっぱりRFIDって万能ですね!で終わるかと思いきや、そんなことはありませんでした。10mまでしっかりスキャンできたのは実験1、上の写真の左側で検証を行ったとき。右側の実験2のように開けた場所では、2mの地点でも腕を振り回してようやくスキャンできる程度でした👇
距離 | 1m | 2m | 3m | 4m | 5m | 6m | 7m | 8m | 9m | 10m |
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スキャン結果 | 〇 | △ | × | × | × | × | × | × | × | × |
使っているタグは同じ、貼っている場所も同じ、距離も同じなのにこんなにも差が出てしまうのはなぜなんでしょう?実験1と実験2で異なるのは、イス周りの環境のみ。1はイスの奥や右横に壁がありますが、2はイスの左右にも奥にも壁がありません。周りに壁がある狭いところのほうが反応が良いってことなんでしょうか。
RFIDリーダーから発信された電波は壁や床に反射し、いろんな方向へ飛んでいきます。「実験1のほうが電波が反射しやすかった」という理屈なのかもしれませんが、なんだか腑に落ちませんね…。反射するものがないだだっ広い校庭のど真ん中でやってみたとしたら、まったく読み取れないということ?
今回の検証ではタグをイスの背もたれ部分に貼り付けましたが、実は貼る場所によっても結果が変わってきました。もはや「△△のタグなら〇mは読めますね」などと下手な断定はできない…!
こういう場合はどうなの?こういうシチュエーションは?などいろいろ疑問が湧きましたので、次回はまた別の検証をしてみたいと思います。