池袋にある資産管理会社のノウハウブログ

社内資産のRFID棚卸、効果のほどは条件と運用次第

近年よくお問い合わせをいただく「社内資産の棚卸にRFIDを活用して効率化したい」というご要望。当社としてはできる限りのご提案をし、実際に導入いただいたお客様も多数ありますが、「RFIDは無敵」とは思わないでいただきたいのが本音。それはなぜなのか。「今どきの技術だからとりあえず導入」ではなく、RFIDについて改めて理解し、考えていただく機会になればいいな…という思いでお送りします。

「そもそもRFIDって何?」「社内資産の棚卸に向いているの?」という記事も過去に投稿しておりますので、こちらもあわせてご参照ください。

RFIDの読み取り率は100%ではない

バーコードラベルとICタグを並べ、まったく同じ距離からバーコードリーダーとRFIDリーダーでそれぞれ読み取りをした場合、読み取る能力はRFIDのほうが上。でも、せっかくRFIDを導入したのにバーコードと同じ距離でスキャンしていたのでは、RFIDの価値を享受できませんね。離れたところからスキャンできてこそ、RFIDを使う意味がある!

…しかしこれが落とし穴。「RFIDは新しい技術」と過信してしまうが故に、想定よりも離れた場所からスキャンしてしまいがち。結果、近距離でスキャンせざるを得ないバーコードよりも読み取り率が下がってしまうことが多いです。ICタグやRFIDリーダーの種類、組み合わせによってその精度を向上させることは可能ですが、その分コストもかさみます。常に距離を意識しながらスキャンするのは難しいので、90%読み取れたら万々歳、通常は80%くらいと思っておきたいところ。

読み取り失敗か、資産が存在しないのか

我々がRFIDの1番の弱点だと思っているのが、「読み取りができなかっただけなのか」「そもそも資産が存在しないのか」の区別がつかないということ。

バーコードを使った棚卸であれば、バーコードラベルの目の前までリーダーを持ってきてスキャンするので、読み取りに失敗したらすぐにわかります。そして資産が存在しなければラベルスキャンもできないので、「スキャンしていない=資産が見つからなかった」ということになります。

RFIDの場合はどうでしょうか。10cm以内に近づけないと読み取れないバーコードと違い、RFIDは種類によっては数メートル離れていても読み取りができるため、部屋の入り口から部屋全体の資産をスキャンできることも。しかし、本来の80%しか資産が検出されなかったとき、残りの20%は読み取りに失敗したのか、それとも資産自体がないのかの判断ができないという盲点があります。

運用でカバーすることが大事

読み取り率はバーコードよりも低い、コストは高い、読み取り失敗か不明資産かの判断が難しい。デメリットばかり挙げてしまいましたが、それでもRFIDを導入して良かったというお客様はいらっしゃいます。導入に成功したお客様に共通しているのは、運用ルールを徹底してRFIDの弱点をカバーすることで、費用対効果を得られているという点。

運用の一例を見てみましょう。まず、一発で100%読み取ることは不可能と割り切ります。読み取り時は2mの距離を意識して作業を行い、70%読み取れていれば一度目の棚卸は終了。その後の「不明資産の探索」のフェーズでは、読み取れなかった資産があると思われる場所に行き、今度は1m以内の距離でスキャンしてみます。これで90%は読み取りが完了するかもしれません。

どのくらいの距離で読み取れるかは、電波干渉を起こすような障害物があるかどうかなどの周りの環境にも左右されます。場所ごとに読み取れる距離が異なる場合もありますし、RFID導入後の初めての棚卸では、勝手がわからず不明資産が多く出てしまいがち。でも、慣れれば距離感や「どの角度で、どのくらいのスピードでリーダーを動かせばスキャンしやすいか」といったコツも掴めるので、読み取り率は少しずつアップします。棚卸担当者が毎回異なると“慣れ”を見込むことができなくなるので、できれば同じメンツで作業を行いたいですね。

前提として、不明資産の探索を行っていなかったら上記の運用は実現しません。「不明資産の探索って何?」という方は下記記事もご参照あれ。

あとは価格問題を解決できれば…

最後に費用対効果の『費用』の部分をもう少し💸

RFIDはリーダーもタグも割高なのがネック。商品に使うタグのように何十万枚も大量発注すればコストを抑えることも可能ですが、社内資産の棚卸となると数千、多くても数万枚が限度でしょうか。タグが1枚150円だとしたら、1万資産で150万円。タグだけでこの価格です。タグを発行するためのプリンターやリーダーは含みません。これを高いと思いますか、それとも安いと思いますか?

「新しい技術が導入できれば価格なんて気にしないよ」という方であれば問題ありませんが、そうでない場合は投資に見合う効果が得られるかどうかしっかり吟味してから、導入の準備を進めてください。