社内資産の棚卸をバーコードでもQRコードでもなくRFIDで行うことに関して、複数回にわたって当社の考えを述べたり検証をしたりして、あれやこれやと書いてきました。ここで一旦内容を整理し、RFID棚卸で失敗しないための注意事項をまとめてみたいと思います。
RFID技術に関する考察
RFID棚卸検証コーナー
過去記事からの繰り返しになりますが、RFIDのスキャン精度は100%ではありません。理屈ではスキャンできるはずのタグが読み取れない、という事態は往々にして発生します。検証中も「こんなの予測できないよ」といった結果がいくつも出ました。たとえば…
RFIDを導入するのであれば、こういった想定外の事態も起こるのだということを十分ご理解いただいた上で、運用方法の検討に進んでください。
さて、RFIDが万能ではないことを踏まえて、運用検討段階では具体的にどんなことに注意すべきでしょうか。棚卸にRFIDを活用する場合、読み取れない可能性を大きくしてしまっては運用としてアウトですね。なぜなら棚卸では「読み取れなかったもの=なくなってしまったもの」とみなされてしまうから。RFIDを導入したら返って不明資産が増えた、なんということにならないよう、スキャンしやすい環境と運用方法の構築が大切です。
過去の検証結果をもとに、当社の考える『RFIDで社内資産を棚卸するときの注意事項』を3つ書き出してみました。オフィスによっては対応が難しい部分もあるかもしれませんが、このくらいの心構えが必要です。
金属と非金属でタグの種類を分けるのは大変なので、金属対応のタグに統一。扉の中や引き出しの中の資産は読み取れない可能性を考慮し、出せるモノは出してからスキャン。そしてタグの上にモノが重なっている場合も読み取り率が下がるので、最初から空間を作っておくか、もしくは面倒でも個別にスキャン。
RFID棚卸ってただただ楽になるものだと思ってたのに、こんなことも気にしなくちゃいけないの…?
はい、そうです。棚卸の主たる目的は「モノの有り無しを確認する」こと。RFIDの能力や機能の問題を理由に、棚卸の実務に弊害が出るようなことはあってはいけません。読み取れないから「なくなってしまった」資産が増えた、ではダメなんです。
上記の対応をすべて行ったとしても、おそらく読み取り率を100%にすることはできません。となると次に大事になってくるのは「スキャンできなかった場合の対応方法」を決めておくこと。探しもせずにすべて一律で「存在しない資産」としてしまうのは良くない例ですが、だからといって全部見つかるまで探し続けるのも大変です。スキャンできないのではなく本当に存在しない資産があったとしたら、いつになっても全部見つかることはないのですから。
下記はたとえばの例ですが、こういった「その後の対応」まであらかじめルール化しておくことが真の棚卸効率化です👓
資産数が10,000件だとすると、1の段階での読み取り漏れは3,000件。2の段階で90%を達成できれば残1,000件。段階3で900件を見つけ出し、不明資産の残りは100件。99%なんて目標が高すぎると思ってしまいがちですが、それでも100件は見つかっていないわけです。総額いくらの損失になるのか…。
何万件もの資産を管理している当社のお客様でも、不明資産が1%以下の企業様は多数あります。毎年きっちり棚卸を行っている企業にとっては、1%ですら良くない数字なのです。
ちなみに読み取り率の運用カバーについては過去にも長々と語っています。大事なことなので再掲。
RFID棚卸の留意点、いかがでしたでしょうか。アレも注意しろコレも注意しろと散々書き殴ってしまいましたが、決して「RFIDは使えない」と言いたいわけではありません。条件と運用次第なんです。
せっかく高額なRFIDを導入したのに全然作業が楽にならなかった、むしろ見つからない資産が増えてしまった、なんていうことになってしまっては誰も幸せになれません。「楽そうだから」「先進技術だから」となんとなく導入を検討されていたみなさまに、この記事が一歩引いて考えていただくきっかけになればと思います。
RFIDのご利用は計画的に💸