このブログでは、主に企業や組織における資産管理のノウハウを発信したり、当社が展開するクラウド型社内資産管理システム「Assetment Neo」のご紹介をしています。今回は、Assetment Neoの導入検討でお問い合わせいただいたお客様の事例をお話ししたいと思います。
導入事例ではなく提案事例です。良い意味で(?)導入をストップさせている状態なので。
目次
お客様の業種は小売業。全国に数百店舗を保有する、某有名なお店です。今までは企業規模を拡大することに神経を注いでいて、気づくと棚卸なんてまともにやったことがなかった、これは大変だということでお問い合わせいただきました。
最近ようやく棚卸を始めたんですが、とにかく見つからないモノが多すぎてどうしたらいいか…
どんな方法で棚卸をされたんですか?
数万点ある資産の3分の1ほどを、目視で確認しながら数ヶ月かけて棚卸しました。この期間が長いのか短いのかわかりませんし、驚くほど不明資産があったものの、じゃあこれからどうするべきか、何から着手すべきか検討がつきません…
初めての棚卸がいきなり万単位というのは、相当大変だっただろうとお察しします。やり方が正しかったのかどうかもわからないでしょうし、棚卸の結果を見ても良いのか悪いのかの判断基準がないですよね。今回のお客様は現状の課題もまとまっていないということで、システム提案の前にまずは現状整理から始めました。
「目視確認の棚卸だととにかく大変なんですよね」「じゃあラベルを貼ってスキャンする方法で効率化しましょう!システムを入れればすぐですよ!」といった流れですぐにシステム提案に入る業者さんもいらっしゃいます。実際、このお客様も他社からそういった提案を受けたそう。ただ、我々はそれだけで解決できる問題ではないと考えました。
たしかにお問い合わせいただいたきっかけは「棚卸の効率化」ですが、棚卸とは現状把握をするための“手段”であり、資産管理の“目的”ではありません。そしてシステムを導入することが資産管理のゴールになるわけでもないですね。
「具体的なシステム導入に入る前に、社内でまずこれを決めたほうが確実ですよ」と我々が提案したのが下記の4つのステップ。実際の提案書はかなりギチギチにノウハウを詰め込んだので、これはだいぶ簡易版ですが。
今まで棚卸をしていなかったけれど、ようやく最初の一歩を踏み出したお客様。でも棚卸ってなぜやるべきなんでしょうか?そもそも会社としての資産管理ってどうあるべきなんでしょう?どういう状態をもって「資産が適切に管理できている」とみなすのでしょうか?まずは資産管理の目的と成果を明確にしましょう。
管理の目的が明確になったら、どの資産をどこまで管理するかを考えましょう。監査対策が目的なのであれば、固定資産として登録されている資産が管理対象になりますね。情報漏えい・セキュリティ対策が目的なら、ネットワークに接続できるIT機器はすべて対象になるでしょう。無駄な経費を削減するのであれば什器・備品も対象になりますが、数千円のものまで管理していたら経費より人件費が上がってしまうので要検討。「必要以上に管理しない」ことが棚卸の負担軽減にもつながります。
管理する対象物が決まったら、いよいよ実際に「どうやって管理をするのか」の運用ルールを考えてみましょう。新しく購入した資産は誰が登録するのか?返却されていない資産はどうやって追うのか?そしていま現在の業務フローを基本にルール作りをするのか、それともこれを機に全面的に見直すのか。ルールを決めたら従業員への周知もお忘れなく!
現状の台帳情報が正確であれば、あとはシステムを導入すればすぐにデータを流し込めるかもしれません。でも不明資産が大量にある時点で、その台帳は正しくない可能性が高いです。台帳整備にはそれなりに時間がかかりますので、不備に気づいたら早めに見直しをしておきましょう。「今月からシステムを利用できるのに、台帳の整備が終わらないから結局使えない」なんていうことにならないように!
データ不備が多すぎてどうにもならない、という場合は1から作り直すのも手。まずは最低限の情報だけで台帳起こしをして、後々活用したい情報はシステム導入後に登録しましょう。
システムを導入する前にもやれること、やるべきことがたくさんありましたね。右も左もわからない状態でシステム選定をしてしまうと、自社に必要な機能がわからないので「なんとなく簡単そうだから」という曖昧な理由で選んでしまったり、結果として十分な導入効果を得られずに終わってしまう可能性もあります。
今回のお客様も我々の提案に気づきを得られたようで、「提案書をもとに社内で方針をまとめてみます。整理できたら改めて連絡しますね!」とおっしゃってくださいました😊
もちろん「方針が決まるまで問い合わせて来ないでください」というわけではありません。一緒に方針を練ってほしい、という方はぜひ早めにご連絡ください!