新型コロナウイルスの感染者数が再び増加し、政府からは「テレワーク7割の推進」が求められました。当社は4月から全社員が在宅勤務を継続していますが、みなさんの職場はいかがでしょうか。
今回のテーマは、テレワークを導入する企業であれば必ず関係してくる「貸出管理の必要性」について。
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多くの企業は1人1台ノートパソコンが支給されていて、各パソコンには操作ログを収集するセキュリティソフトがインストールされていると思います。ログは残っているしアクセス制限もかけているのだから、職場でも自宅でもセキュリティレベルはさほど変わらないでしょう。
え、ほんとにそうですか?
現物管理を重視している当社からすると、セキュリティソフトに頼るだけの運用では不十分。盗難や紛失までいかなくても、パソコン自体が返却されなかったときのリスクを考える必要があります。パソコンがなくなったところでその資産価値はたかが知れていますが、社内ネットワークにアクセスできる情報や、企業の機密情報がみっちり詰まったノートパソコンが返却されなかったら…取り返しのつかないことにもなりかねません。
テレワークでパソコンが返却されないってどういう状況…?
そんなことありえない、なんて思っていませんか?いやいや、実際に起こりうる話です。
ある企業では、全社的なテレワークの導入で、パソコン管理の担当者ももれなく在宅勤務になり、その間に退職した人の返却物がオフィスに山積みになっていたそうです。久しぶりの出社後2ヶ月遅れで返却状況を確認したところ、1人の退職者のパソコンが未返却であることが発覚。あわてて連絡をするも「ちゃんと返しました」と言い張られ、なすすべもなく…。
テレワーク開始時は各自カバンにノートパソコンを入れて持ち帰らせているので、「確実に貸し出した」という証拠がありません。そして返却した証跡もありません。だからといって退職者を問い詰めても、辞めた会社に協力的になってくれる人って少ないのではないでしょうか、悲しいですが😔
テレワーク期間中に、派遣社員の契約が満了したとき。その人の住所を把握していないが故に、契約満了とともにパソコンの行方がわからなくなる可能性も。「何かあれば派遣会社に言えばいいや」では済まないことだってあるかもしれません。違法ですが二重派遣も横行していますし、業務委託契約による孫請けの場合もあります。個人事業主が派遣会社に登録して就業していることだってあります。
身元確認が曖昧だと、パソコンが返却されなかったときに追跡しようがありません。もしもの場合、派遣元がしっかりパソコンを回収してくれるのか確認しておいたほうがいいかも。
テレワーク開始時、普段使っているノートパソコンを持ち帰る…違和感のない動きですよね。でも、もし余っているパソコンを同じように持ち帰ってしまったら、周りの人はそれに気づけるでしょうか。余りのパソコンを貸し出したという記録はどこにも残りませんし、そうなると返却を押さえることもできません。
社員を信用することは大事ですが、貸し出したという記録が残っていないのも問題です。口頭で「各自、自分のパソコンを持ち帰って在宅勤務しろよー」と指示するだけなんてもってのほか。
では、これらの可能性をどうやって潰し込みましょうか。まずは以下の事項を徹底してください。
何はともあれエビデンス。何を貸し出したのか、誰に貸したのかの記録と、貸与者の押印、そして上長の確認。これらの記録をワークフローで管理するのが理想的です。
当社の場合は、さらに派遣社員の方に対して住所がわかる身分証の提示もお願いしました。そして作成したエビデンスのコピーを本人に渡し、返却時にそのエビデンスを提出するよう伝えました。
次は「返却された」という記録を残すこと。当社は常日頃からバーコードを使った現物管理を行っているので、返却時はパソコンに貼付されているバーコードをスキャンして登録完了です。貸し出したものとの消し込みが自動で行われ、未返却物はすぐわかるようになっています。
現在バーコード管理を行っていない場合は、貸出時に各自に配られたエビデンスを上長に提出し、上長が目視で返却物の確認を行ったあと、部門ごとにそのエビデンスを回収する、というアナログ手法でも十分。「返却状況を確認している」ということがわかるだけでも、不正の抑制につながります。
前述の例は「テレワーク終了時に手持ちで会社に返却する」場合ですが、中にはテレワーク後一度も出社せずに退職する人もいるでしょう。そんなときのことも考慮して、貸し出す際にあらかじめ「会社で管理している宅急便の着払い伝票」を渡しましょう。その送り状をもって「退職者が貸与物を返却したかどうか」の証跡を会社側で押さえることができます。
テレワークの期間が長くなればなるほど、どこかにいってしまうパソコンが増える可能性は大です。それを防ぐためにも、「誰に」「何を」貸与したのか、しっかり押さえておきましょう!
ところで半沢直樹、情報管理が甘すぎませんか?