写真は弊社ではありません(何アピール)。
机にイス、パソコン、サーバー、スマホにプリンタ。社内はたくさんのモノ(=資産)であふれています。そしてそれらの資産は、何らかの方法で管理されていると思います。定期的に棚卸をしている企業も多いでしょう。え、まだ何も管理してない?それはいけませんね…。
でも、なぜ資産管理が必要なのでしょうか。管理しろと言われたから?今までもずっと管理してきているから?管理するのが当たり前だから?
資産管理をするということは、管理業務に労力やコストをかけるということ。コストをかけてまで管理をする目的とは何なのでしょうか。この目的が曖昧なまま業務を遂行してしまうと、資産を管理すること、棚卸をすることなどの行為そのものが目的になってしまいがち。台帳を作成したり棚卸業務を行っても、それが企業の役に立っていなければ意味がありません。
資産管理を行う前に、まずはその目的をしっかり理解しておきましょう。
社内資産を管理する目的とは、ズバリ「モノをなくさないようにするため」。ものすごく当たり前のようですが、これが1番大事です。
ではなぜモノをなくしてはいけないのか。なくしたら何が困るのでしょうか。
具体的にどう困るのかは、モノの種類によって異なります。ここでは固定資産、IT資産、什器・備品の例を用いてご紹介します。
固定資産には建物や機械設備、サーバーなど、一定金額以上の資産が含まれます。これら資産の情報は固定資産台帳に記載され、企業の財産リストの『正』として計上されます。
固定資産がなくなったら、台帳上の情報と実際の資産に差異が発生します。なくなった資産の除却処理がされないまま、正しくない台帳の情報をもとに会計報告をしてしまっては、特に上場企業においては監査法人のチェックが入った際に指摘の対象になってしまいます。
法人として会計処理を適正に行うために、監査指摘を防ぐために、固定資産の管理が必要になるのです。
IT資産には、パソコンやスマホなどネットワークに接続する機器や、USBメモリのような記憶媒体などが含まれます。
これらを紛失することで考えられる1番のリスクは、やはり情報漏えい。昨今話題になっていますが、「紛失したノートパソコンから顧客の個人情報が流出した」「重要情報が入ったUSBメモリを持ち出された」なんて事件が発生してしまっては、売上減や社会的な信用の低下だけでなく、企業に見切りをつけた社員が退職してしまうなど、企業としての損失は計り知れません。
これらのリスクを回避するためにも、企業が今最優先で管理すべきモノはIT資産でしょう。
机やイスなどの什器・備品は、会計処理に影響することもセキュリティの問題もありませんが、あえて言うなら無駄遣いでしょうか。
モノがなくなったら、足りなくなった分を追加購入します。管理していないが故に使われていない備品(遊休資産)があることに気づかず、新規購入をしてしまう可能性もありますね。
ただし…数百円、数千円の消耗品を徹底して管理する必要性は、我々はあまり感じていません。ゴミ箱1つなくなったところで大した金額ではないでしょう?新規購入するコストよりも、管理するための労力やコストのほうが負担になってしまっては元も子もありません。損失額と人件費の兼ね合いを考慮しましょう。
…こんなこと言って商談が減ってしまったらどうしよう…給与カットされませんように…!
資産管理は「モノがなくなると困るから、なくさないようにするために」行う。ここを押さえることができれば、資産管理の次のステップ「何を管理するのか」の範囲も見えてきます。
監査対策が1番の目的であるならば、まずは固定資産の管理だけを徹底することから始めれば良いのではないでしょうか。セキュリティ対策が1番なら、IT資産から始めることになるでしょう。什器・備品に関しては「なくなったら困るのか、なくなっても割り切れるのか」を基準に考えましょう。
さらに言ってしまえば、なくなると困るけれど、そもそもなくなる可能性が極めて低いものは管理コストを極力抑えましょう。土地や建物などがそれに当たりますね。朝出社したら自社ビルが持ち逃げされていた、なんてことありますか?怪獣ですか?
管理対象を広げすぎてガチガチに管理してしまうと、必要以上に労力やコストがかかり、従業員のやる気も下がり、結局長続きしません。まずは無理のない範囲で、優先順位の高いものから管理にとりかかることをおすすめします。続かない管理にコストをかけることほど無駄なものはないですよ。
資産管理においてとても重要な「管理する目的」。あなたの職場では何が1番の目的なのか、今一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。