「今年こそは社内資産の管理を徹底するぞ!ラベルも貼るぞ!」と意気込んでいる管理担当のあなた。え、そもそも台帳がない?今の台帳は情報が正しくないから使いたくない?会社移転に伴って台帳を作り直したい?
資産管理台帳がすでにある場合は、台帳をもとに実際の資産を探し、ラベルを貼っていきますね。でも台帳がない場合の作業は逆。目の前にある資産にラベルを貼ってから、その資産の情報をメモして台帳を作成します。部屋の端にある資産から順にラベルを貼っていき、一つひとつ潰し込んでいくイメージ。
今回は、この「台帳起こし」の作業を効率よく行うためのポイントを押さえていきましょう。
まず最初に「何を管理するのか」を決めましょう。まさかシャーペンや消しゴムにまでラベルを貼る方はいないと思いますが、管理するしないの境目が担当者によって異ならないよう、定義を明確にしておく必要があります。
次にラベルの準備。台帳がすでにある場合はラベルに資産名や資産区分(固定資産かリース資産か、など)を印字することもできますが、台帳がない場合はそうもいきません。番号とバーコードだけが印字されたラベルを連番で発行し、資産にどんどん貼っていきましょう。そのあとで「100001番のラベルはパソコンに貼った」と情報を紐づけていきます。
ラベルを貼ったあとのメモはぜひともスマホを使いましょう。デフォルトアプリのメモ帳を使っても良いですし、スプレッドシートなどでも構いません。とにかく手書きは避けてください。
当社が台帳起こしを行ったときの経験談なのですが、「手書きの文字が読めない」という問題が発生しました。最初はみんな綺麗な字なんです。でも数十個、数百個と資産をメモしていると、どんどん文字が歪んでいくんです…達筆すぎて読めないんです…😂
今どきの方であれば、ペンで文字を書くよりもフリック入力のほうが速いかもしれません。そしてデジタルデータにしておくほうが事後のデータ入力作業もはかどります。ここはぜひともスマホ活用の検討を。
台帳のテンプレートも作っておきましょう。新たに台帳を作るからにはいろんな情報を盛り込みたくなりますね。
ここで重要なのは、初回の台帳起こしの際に記入する項目と、将来的に管理したい項目を分けておくこと。最初から完璧に情報を登録しようとすると、作業量が膨大になりいつになっても台帳が完成しません。台帳起こしでは最低限の情報登録にとどめ、残りの項目は一通り台帳ができあがったあとに回しましょう。最初は下記の項目だけで十分。
これだけあれば、「どこで」「誰が」「何を」使っているのかが把握できます。社内にタブレットが何台あって、どの部署の誰が利用しているのかもわかります。次回の棚卸の際、ラベルスキャンで棚卸できるものなのか、ラベルを貼っていないから目視チェックの対象となるのか、などの識別も可能です。
修理を依頼するときに必要だから、機器を特定するために必要だから…など、いろいろな理由で「シリアルナンバーを管理したい」というお声をよく聞きます。ただこの項目は資産管理の中でもハードルが高めなので、将来的に管理したいものとして考えておくことをおすすめします。
シリアルナンバーを調べる作業は結構大変なんです。1つの機器にいくつもシールが貼られていて、どれがシリアルナンバーなのかわからないなんてことはザラ。情報システム部の方ならすぐにわかるかもしれませんが、ラベル貼付の担当が情シスとは限りません。まずは資産番号で管理を行い、「やっぱりシリアルナンバーがないと不便」ということであれば後々追加を検討しましょう。
さて、諸々の事前準備が終わったら実際の貼付作業の流れを見ていきます。
現場では最初の3つの作業さえ押さえておけば、4の作業は自席でじっくり行えます。
ラベルを貼ることができない資産の場合は、ラベルそのものにマジックで「○」などの印をつけ、メモにはラベルの資産番号と一緒に「貼付不能」と書き込みます。ラベルに印をつける理由は、そのラベルを誤って別の資産に貼付してしまうことを防ぐため。現場での作業が終わったら、印がついたラベルの枚数と「貼付不能」のメモの数が合っているか確認しましょう。
これで最初の「台帳起こし」が完了しました。新しく資産を購入した場合や廃棄した場合は都度台帳を更新し、常に最新の状態を保つように心がけましょう。
しつこいようですが、口を酸っぱくして言わせてください。最初からハードルを上げすぎると早々につまづいてしまいます。ラベル貼付時の作業内容を極力減らし、台帳も必要最低限の情報からスタートすることが重要です。