池袋にある資産管理会社のノウハウブログ

金属対応のRFIDタグはどんな環境でも読めるの?【RFID棚卸検証】

📢これはオフィス備品などの社内資産をRFIDで棚卸してみる検証コーナーです。
商品在庫の話ではありませんのでご注意ください。

RFID棚卸の検証コーナー第3回。過去記事とあわせてどうぞお楽しみください👇我々もどんどん楽しくなってきました。

第1回の検証では、タグを貼ったイスをどこに置くかによって、10m離れても問題なかったり2mしか読み取れなかったりという極端な結果が出ました。第2回の検証では、イスのいろんな場所にタグを貼ってスキャンしてみた結果、どこに貼っても読めるようにするには「お手頃価格の金属非対応タグ」ではなく「ちょっと割高の金属対応タグ」を選ぶべきだ、という結論に至りました。

第3回となる今回のテーマは「金属に対応したタグは本当に無敵なのか」。これまでの検証で、金属対応のタグは貼る資産の素材が何であろうと安定した結果を出していました。でも本当に大丈夫なの?実際に棚卸に使ってみたら「金属対応なのにスキャンできなかった」というパターンもあるのでは?ということで、実際のオフィス環境を再現しながら検証してみます!

金属対応タグをノートパソコンに貼る

検証に使うタグは、第2回で使用した金属対応タグ、Confidex社のSilverline Blade II。金属対応ということで今回はイスではなくノートパソコンに貼付します。そしてこのパソコンをオフィスのさまざまな場所に置いてみて、棚卸作業を想定した2m範囲内でスキャンできるかどうかを試してみましょう。

オフィスでノートパソコンが置かれる場所ってどんなところでしょうか。使用者のデスクの上はもちろん、使用頻度が低いものは引き出しやキャビネットの中にしまわれる可能性も大ですね。長期で使われていないものは倉庫行きかな?

木製の什器に置いてみる

当社の什器はボスの好みにより木製ばかりということで、まずは木製のデスクやキャビネットで試してみます。

置く場所\距離0.5m1m1.5m2m
何もない木製デスクの上
モノが並んだ木製デスクの上
木製サイドワゴンの引き出しの中
木製キャビネットの中

これは予想した通り。周りの什器は木製ですし、タグを貼っている場所も上を向いているので電波を干渉するものは何もなさそう。

スチール製の什器に置いてみる

木製什器は実験としては条件が良すぎる。ということで「金属製の什器もないと検証になりません」と稟議を上げ、スチール製のサイドワゴンも入手。今度はスチール製のサイドワゴンの中、スチール製の備品棚の上、そしてサーバーラックの中の3パターンで試してみました。

置く場所\距離0.5m1m1.5m2m
スチール製サイドワゴンの引き出しの中×××
スチール製備品棚の上
サーバーラックの中

備品棚は棚自体が金属製であるものの、周りに置いてあるものはほぼ非金属なので読めることは想定内。サーバーラックは周りが金属だらけのサーバールームの中にあるので、もう少し成績が悪いかなーと予想していたのですが、2mでもまったく問題ありませんでした。

ちょっと驚いたのがスチール製のサイドワゴン。0.5mの距離でようやくリーダーが反応したので、棚卸時は意識して近づかないとスキャン漏れが起こりそう。

どこか一面でも開いていればOK

なぜスチール製のサイドワゴンだけ極端に読み取り精度が低かったのか。これはおそらく「上下左右とも塞がれていて、外から電波が入り込めなかった」からだと思われます。

サイドワゴン以外の実験場所はすべてタグを貼った上面が開けた状態なので、RFIDリーダーから発信された電波は上面からタグに降り注ぐことができます。これに対し、サイドワゴンの中に入れて引き出しを閉めた状態では、四面とも塞がれているので電波の入り込む隙がありません。試しに引き出しを開いた状態でスキャンしてみたところ、上面が開放されるので2mでも問題なく読み取ることができました。

木製のサイドワゴンのときは引き出しを閉めていても読めたのに…?

木製とスチール製で結果が異なる理由は、木材は電波を透過し、金属は透過しないから。当社にはスチール製の什器がほぼないのでサイドワゴンでしか検証できませんでしたが、スチール製のキャビネットにモノを収納し、扉を閉めた状態でもきっと同じ現象が起こるはず。

ということは、金属製の什器が多いオフィスでRFID棚卸をする場合、あらゆる扉を開放した状態にしないと読み取りが難しいということになりますね。ち、ちょっと不便…かな…🙀


もっともっと深掘りしたくなってきました。次回も引き続き、扉を閉めた状態、引き出しを閉めた状態の検証を行ってみたいと思います。